6月 21 2008

5月の恋

Published by at 11:47 AM under 華流

中国・台湾合作

映像を観ていると合作だということが理解できるのです。
まったく映像方法が異なっており、違う映画を観ているものと錯覚してしまう。

中国ハルピンにあるという古びた建物ながら歴史を感じさせる演劇学校。
近代的な大都会台北を中心に活躍するミュージシャンとその弟の住むマンション。

 主演のチェン・ボーリンは、なんともうだつの上がらぬ青年。もさいヘアーに甘々の籠もった話し方。優柔不断でもっとシャキッとしろと怒鳴りたくなる。しかし、眼光鋭く凛々しい雰囲気もあったり、キレたら何をしでかすか分からない現代青年のそのままの姿を投影している。堂本剛を彷彿させる彼は、またそこが現代少女の母性本能をくすぐり受けている要因なのでしょう。

 一方、イーフェイの心の冷たさと暖かさが印象に残るのです。演劇仲間では何隔てなく楽しく振る舞うが、そこは多くの同世代の者から選り抜かれたエリート集団。その自負と誇りとを糧に日々の鍛錬に勤しむ少女。偽物ボーリンを見やる冷たく軽蔑した視線。それがまさにそれなのだ。でも、ところどころに現れる優しさ。廃線の谷に掛かる石橋。そこを命の危険を賭してまで渡ろうとするイーフェイ。しかし、足がすくんで途中で立ち往生したボーリンにそっと手を差し出すときの厳しい中にも慈愛ある表情。。
メイキングを観ると、実際、小心者のイーフェイはかなり怖がって撮影に臨んでいたとボーリンが語っております。また、『神鵰侠侶』のメイキングであろうか、撮影の合間に可愛い子ヤギであったかを抱かしてもらったときのあどけない姿がありました。

 スターである自負心と日々努力しているという自信から醸し出される冷徹な印象と深いところに彼女が持っている優しさと慈しみとが自然に醸し出された映画となっております。

中盤で中国本土と台湾の歴史的悲劇が盛り込まれて、映画を締めていますが、若者にとってはそこは、重たく、また、中年以降には青年の軽い描き方について行けず、どっちつかずで名作になり損ね佳作といえそうな映画となっております。

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